🗨️ はじめに

こんにちは、映画レビューサイト「HobiTalk」へようこそ!

今回は、スペイン発のPOVホラー映画の金字塔**『REC/レック』**をレビューします。

2007年に公開され、手持ちカメラの主観視点(POV)で撮影された臨場感のあるホラー映画として世界中に衝撃を与えた本作。
筆者が鑑賞したのは公開からやや時間が経った頃ですが、当時「POV映画」にハマっていたこともあり、予告編を観て即座に興味を惹かれました。

“なんとなく面白そう”という気持ちで再生ボタンを押したのが最後。
そこから約80分、まるで自分が事件に巻き込まれているような錯覚に陥りながら、最後まで息もつけない恐怖を味わうことになりました。


🎬 予告編

▶️ 『REC/レック』 予告編(YouTube)

この予告を観るだけでも、POV特有の緊迫感と恐怖演出の質が伝わってきます。
※映画を観る前に、部屋を暗くするのは覚悟を決めてからにしましょう。(ハリウッドリメイク版と間違えないよう注意)


🎥 作品情報

  • タイトル:REC/レック
  • 原題:[REC]
  • 公開年:2007年
  • 製作国:スペイン
  • 監督:ジャウマ・バラゲロ、パコ・プラサ
  • ジャンル:ホラー、POV、サスペンス
  • 主演:マヌエラ・ベラスコ(アンヘラ)

📝 あらすじ・雰囲気

『REC』の物語は、深夜のテレビ番組「眠らないバルセロナ」の取材中、レポーターのアンヘラとカメラマンが消防署に密着取材をしていたところから始まります。彼らは「騒音の通報があった」という通報を受け、現場となる集合住宅へと同行。最初は通常の取材のつもりだった彼女たちが、やがて予想もつかない恐怖の連鎖に巻き込まれていきます。

ストーリーは、次第に不気味さが増していくマンション内の様子と、目に見える“感染”の広がりによって観る者を恐怖へと誘います。その怖さの根源は、ゾンビ映画的な肉体的恐怖であると同時に、正体不明な事態に取り囲まれる心理的な恐怖でもあり、観る側の想像力をじわじわと刺激してくるものです。

マンションという限定された閉鎖空間で起きる出来事だからこそ、視野の狭さや逃げ場のなさが、ストーリーの恐怖をより強調することに成功しています。


😱 印象に残ったシーン

最も恐怖を感じたのは、物語序盤で初めて感染者が登場するシーンです。特に印象的なのが、あるおばあさんの存在です。一見、動きが遅く無害に見える人物が、突然叫び声を上げて消防士に襲いかかるというシーンは、完全に不意を突かれた恐怖体験でした。

POVの特性によって、“何が起きたのか”が瞬時に把握できず、画面の揺れや不鮮明な映像の中で、ただ「何かが起きた」ことだけが伝わってくる演出がリアルです。そしてその直後に訪れる静寂や、誰もが何が起きたか分からず困惑する空気が、さらに緊張感を高めていきます。

このシーンが示すように、『REC』は“どこにでもいる人が突如として脅威になる”という、非常に身近で避けがたい恐怖を突きつけてくる作品なのです。


👤 キャラクター・主人公の印象

本作の主人公アンヘラは、いわゆる「ヒロイン」としての役割にとどまらず、観客の視点を代弁する存在です。最初は明るく軽快に取材を進める彼女が、次第に恐怖に飲み込まれていく過程は非常にリアルで、視聴者が共に体験している感覚を強くさせます。

また、他の登場人物たちはあまり深く描写されておらず、“モブキャラ”として扱われることが多いのですが、それが逆にPOV作品としてのリアリティを増す結果となっています。観客はあくまで「記録された映像」を見ている立場であり、カメラが捉えた断片的な情報しか得られないという構造が、緊張感や没入感を一層高めているのです。


🎥 カメラワーク・音響・演出

POV作品ならではの手ブレや急なズームイン・ズームアウトは、人によっては酔いを感じるレベル。
ただし、カメラを通してしか情報が得られない構造だからこそ、画面の隅や奥に映る“違和感”が非常に効果的な恐怖演出として働いています。

また、音響面も緻密で、遠くから聞こえる足音、ドアを叩く音、突如として鳴る悲鳴など、「視覚外の情報」に対する恐怖を刺激する作りになっています。


🎥 カメラワーク・音響・演出

本作最大の特徴であるPOV手法は、観客をまさに“映像の中にいる当事者”に変えてしまう力を持っています。画面が揺れることで臨場感が増す一方、酔いやすさもあるのですが、それすらも本作の「生々しさ」の一部として成立しています。

また、暗い室内でのカメラの光、赤外線モード、そして狭い廊下でのワンカット撮影など、視覚的な演出の多くが“制限された視界”を逆手に取った見事な緊迫感を生み出しています。音響も極めて重要で、耳元で響くような物音や悲鳴、沈黙が怖さを増幅させています。

この作品はまさに「視覚と聴覚のホラー体験」であり、派手な演出に頼らず、リアルな不安感と恐怖を観客に刻み込むことに成功しています。


🧩 ストーリー構成・舞台演出

閉鎖されたマンションという舞台設定は、物語全体に一貫した息苦しさと恐怖感を与えています。縦に伸びた建物の構造を活かし、階段の上下移動や各部屋への立ち入りが、まるでリアルタイムの探索のように描かれており、探索型ホラーゲームを思わせる設計です。

また、一度訪れた場所に戻ってくるたびに環境や状況が変わっているという演出が、視聴者の記憶と想像力に揺さぶりをかけ、単なる通路すら恐怖の空間へと変えてしまいます。

物語が進むにつれて謎が明らかになる構成も巧妙で、最終盤の“隠された真実”が明らかになる瞬間には、ただのゾンビ映画ではない異質な恐怖が顔を出します。


🧮 総評(10点満点):8点

『REC/レック』は、POVとホラーの融合において極めて完成度の高い作品です。90分足らずの上映時間の中に、これだけの緊張感と没入感を詰め込んだ演出力は見事の一言。

ただし、POV特有の手ブレが激しく、人によっては視聴中に疲れを感じる点や、情報が限定される構造上、展開が唐突に感じる箇所もあるかもしれません。

それでも、今なお語り継がれる理由が明確に伝わってくる一本であり、ホラー映画の可能性を再確認させてくれる名作です。


🎯 特におすすめの人

  • POVや一人称視点の映画に興味がある人
  • ゾンビ映画の変化球を求めている人
  • 閉鎖空間ホラーが好きな人
  • 恐怖体験を疑似的に味わいたい人
  • 『REC2』以降のシリーズを追ってみたい人

🎥 続編・シリーズについて

『REC』の続編である『REC2』は、本作直後の時間軸を描いており、より深く感染の正体に迫っていく内容となっています。アクション要素が強まりつつも、緊張感はそのままに、シリーズの世界観を広げる作品として評価されています。

なお、初期の『REC』『REC2』はDVD・Blu-rayがすでに絶版状態であり、中古市場でもプレミア価格がついています。そのため、現在はAmazonプライムビデオなどの配信サービスを活用するのが最も現実的で便利な視聴手段です。


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『REC/レック』はAmazonプライムで配信中(2025年6月現在)

POVホラーの傑作として今なお高い評価を受ける本作を、ぜひこの機会にチェックしてみてください。

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投稿者 Y氏